ブログ「宿主のひとりごと」

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2025/09/27 宿主のひとりごと 令和7年9月 new

先日、中学校の時に転校して以来、一度も会うことのなかった懐かしい友
人、K.H君が有馬館に泊まりに来てくれました。
彼が転校していった当時は、離ればなれになることがとても辛く感じられま
した。
というのも、小学校時代に親しくしていた友達が突然転校することになった
時の経験が、強く記憶に残っていたからです。
その友達とは「県内にいるのだからまた会えるだろう」と思っていたのです
が、当時は連絡手段も限られており、気がつけば音信不通のまま、次第に話
題にのぼることもなくなってしまいました。
そのこともあり、せっかく仲良くなった人とまた別れなければならないこと
に、当時は少し恨めしさのような気持ちを抱いたのを覚えています。
転校してしまえば、もうなかなか会うことができない。子ども心ながらに、
そう予感していたのだと思います。
案の定、時が経つにつれて、分からなくなり、気がつけば今日まで何も知ら
ないまま過ごしてきました。
今のようにさまざまな連絡手段があれば、きっと交流を続けられたことでし
ょう。
K.H君と翌朝一緒に散歩に出かけ、母校の小学校を訪ねました。しかし、当時
の校舎はもちろん、比較的新しかった体育館さえもなくなっており、すっか
り面影を失った姿に彼はたいへん驚いていました。
周囲の町並みも大きく変わっており、無理もないことです。
なにしろ、もう半世紀以上も前のことなのですから。
散歩のあとにはロビーで腰を落ち着け、共通の友人の話や上山市内の変化、
そして互いのこれまでの人生について語り合いました。
ほんの2時間ほどの時間でしたが、積もる話に花が咲き、あっという間に過ぎ
てしまいました。
LINEの連絡先も交換し、「同級会を企画する際には必ず案内するから、ぜひ
来てほしい」とお願いして、再会を約束しました。
旅館という仕事をしていると、このように長い年月を経て懐かしい人が訪ね
てきてくれることがあります。
これは本当にありがたいことだと、改めて感じます。
ふと、小学校時代に離ればなれになったS.T君は今どうしているのだろう、と
考えることもあります。
もしかすると、私が思うほどには彼の記憶に自分は残っていないかもしれま
せん。
それでも、いつの日か再び会えることを願う今日このごろです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

有馬館
館主 須藤 信晴